安全への配慮!小型フォークリフトの危険因子や操作手順を詳しく解説
一般的なフォークリフトと比べて手軽に操作できる小型フォークリフト。しかし、その気軽さから安全への配慮が薄れやすいという特徴もあります。そこで本記事では、小型フォークリフトにおける危険因子や操作手順について、詳しく紹介します。
フォークリフトの安全研修にお悩みの方
フォークリフトの運転に必要な資格は「最大積載荷重」によって異なります。最大積載荷重が「1t未満」の小型フォークリフトであれば、特別教育のみで運転可能です。
一方、最大積載荷重が「1t以上」のフォークリフトを運転する場合は、フォークリフト運転技能講習を受講する必要があります。
また、フォークリフトの運転技能講習は保有する資格や業務経験によって、コースが異なります。各コースの詳細は次のとおりです。
【11時間コース】 カタピラ限定を除く大型特殊免許所有者普通・準中型・中型・大型・大型特殊(限定あり)免許所有者で、特別教育を終了してから1t未満のフォークリフト業務経験が3ヶ月以上ある方 【15時間コース】 小型フォークリフト特別教育終了後、1t未満のフォークリフト業務経験が6ヶ月以上ある方 【31時間コース】 普通・準中型・中型・大型・大型特殊(限定あり)免許所有者 【35時間コース】 上記に該当しない方 |
フォークリフトには扱う荷物や作業内容に合わせて、作業効率を上げる為に取り付けるアタッチメントがあります。主なアタッチメントの種類は次の9つです。
- サイドシフト
- フォークシフター
- ベールクランプ
- ロールクランプ
- ドラムクリッパー
- 回転フォーク
- 全回転パレット
- フック
- マルチロードハンドラー
フォークリフトの安全運転に対する理解を深めるためにも、アタッチメントごとの特徴や使用用途について、詳しく解説します。
1. サイドシフト
「サイドシフト」とは、フォークを左右に移動できるアタッチメントです。サイドシフトを使用することで車両の切り返しを減らし、積み込み位置を正確に決められます。
微妙な位置調整を要求される作業やトラックなどの荷台へ積み込みなどに威力を発揮するアタッチメントです。
2. フォークシフター
「フォークシフター」とは、レバー操作でフォーク間隔を調整できるアタッチメントです。パレットや荷幅に応じて最適なピッチに調整できます。
荷幅に合わせてフォーク間隔を調整できるフォークシフターは、袋詰めされた荷物や弾力性のある荷物、横幅が長い荷物などさまざまな種類の荷物を扱う場面で役立ちます。
3. ベールクランプ
「ベールクランプ」とは、パレットがなく荷物を両サイドから直接挟めるアタッチメントです。布や原綿などの弾力のある荷物やかさばる荷物に適しています。
1トン用の袋(フレコンパック)などを挟んでトラックに積み込むなどの使用方法も可能です。
4. ロールクランプ
「ロールクランプ」とは、ロール紙をしっかりと挟み、傷つけることなく確実に積み込みできるアタッチメントです。挟み込んだまま、回転させることもできます。
製紙工場やロール紙の倉庫、ダンボール工場などで広く利用されているアタッチメントの1つです。
5. ドラムクリッパー
「ドラムクリッパー」はドラム缶の運搬に使用されるアタッチメントです。ドラムクリッパーを使用すれば、扱いにくいドラム缶もしっかりと挟め、安全に運搬できます。
貯蔵場や食品工場など、製品をドラム缶のままトラックに積み込むような場面で活躍するアタッチメントです。
6. 回転フォーク
「回転フォーク」とは、回転とバレット作業のいずれも対応できるアタッチメントです。連続で360度フォーク回転可能なため、原材料からスクラップまで運搬・放出を効率よく行えます。
ガラ物や液体などを運搬する際に広く利用されています。フォークを水平に切り替えれば、完成品の運搬やパレット作業も可能です。
7. 全回転パレット
「全回転パレット」とはフォークが左右に開閉し、360度回転するアタッチメントです。クランプ作業とパレット作業のどちらも可能で、布や原綿などを直接挟んで運搬したり、寸法が異なるパレットを使用する作業に使用したりできます。スリップオン装着すれば、ドラム缶などの運搬も可能です。
8. フック
「フック」とは、フォークリフトを移動式クレーンにできるアタッチメントです。フックを使用すれば、吊り上げとフォーク作業を同時に行えます。
フレコンバッグの紐をフックに引っかけて吊り上げたり、敷鉄板を運搬したり施工したりといった場面で役立ちます。
9. マルチロードハンドラー
「マルチロードハンドラー」とは、隣り合った2枚のパレットを同時に使用して荷物を運搬できるアタッチメントです。1度に運搬できる荷物を倍にできるため、作業効率を高められます。主に、飲料メーカーの倉庫で使用されています。
数あるアタッチメントによって、さまざまな作業に対応できるフォークリフトを安全に運転する際の注意点として、次の3つが挙げられます。
- 運転前の安全点検
- 安全な荷役運搬作業の手順と走行
- 運転後の点検
安全なフォークリフトの運転につなげるためにも、注意点ごとの詳しい内容を見ていきましょう。
運転前の安全点検
フォークリフトは労働安全衛生法によって、次の3つの定期自主検査が義務付けられています。
- 年次検査
- 月次検査
- 始業点検
安全点検で検査する内容を次の表にまとめています。
年次検査 | 圧縮圧力、弁すき間その他原動機の異常の有無ディファレンシャル、プロペラシャフトその他動力伝達装置の異常の有無タイヤ、ホイールベアリングその他走行装置の異常の有無かじ取り車輪の左右の回転角度、ナックル、ロッド、アームその他操縦装置の異常の有無制動能力、ブレーキ、ドラム、ブレーキシューその他制動装置の異常の有無フォーク、マスト、チェーン、チェーンホイールその他荷役装置の異常の有無油圧ポンプ、油圧モータ、シリンダ、安全弁その他油圧装置の異常の有無電圧、電流その他電気系統の異常の有無車体、ヘッドガード、バックレスト、警報装置、方向指示器、灯火装置および計器の異常の有無 |
月次検査 | 制動装置、クラッチおよび操縦装置の異常の有無荷役装置および油圧装置の異常の有無ヘッドガードおよびバックレストの異常の有無 |
始業点検 | 制動装置および操縦装置の機能荷役装置および油圧装置の機能車輪の異常の有無前照燈、後照燈、方向指示器および警報装置の機能 |
年次検査と月次検査の記録は、3年間にわたって保存する必要があります。また、定期自主検査および始業点検で異常があった場合は、直ちに補修等の措置をすることが義務付けられています。
参考:フォークリフト法定点検について|トヨタL&F近畿株式会社
安全な荷役運搬作業の手順と走行
フォークリフトによって安全な荷役運搬作業を行うためには、次の項目についての作業前の確認や実施が必要です。
- 始業点検を必ず実施する
- ヘルメットを必ず着用する
- 貨物発送前に貨物に重量をはっきりと表示しておく
また、荷役作業中には次の点にも注意しなければなりません。
- 正しい姿勢で運転する
- 制限速度を設定し安全なスピードで走行する
- 上昇させたフォークや積荷の下には人を立ち入らせない
- 転落を防止するために、路肩いっぱいで走行しない
- 急旋回や急ブレーキは厳禁
- フォークリフトのパレット上に人を乗せない
安全に荷役運搬作業を行うためにも、会社毎の決まりやルールを作り、現場に携わる全員で順守することが大切です。
上記の内容を社内で共有するために、従業員を教育する仕組みづくりが求められます。
運転後の点検
明日の作業を安全に行うために欠かせないのが、運転後の点検です。フォークリフトの外観点検をはじめ、ブレーキのかかり具合などの作動点検やオイル漏れの確認なども適宜実施しなければなりません。
また、小さな故障も場合によっては重大な事故の原因となります。異常が感じられる車両は管理者に報告し、修理が完了するまでは絶対に運転しないようにしましょう。
小型フォークリフトは他の作業車よりも手軽に利用できる一方、安全配慮に欠けやすいという危険因子も含んでいます。転倒や荷物の下敷き、人身・物損事故なども起きやすく、作業手順や走行のポイントを押さえて、安全運転を心掛けることが大切です。
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