フォークリフトの労災発生とその原因とは?作業時のチェックポイントを紹介!【まなVRクラウド】
物流業界においてフォークリフトは、かさばる荷物を簡単に運べるため、荷物の運搬や積み込みといった仕事を行う上で必須の乗り物です。少し練習すれば意外と誰でも簡単に操作できてしまいますが、死亡につながる事故件数が多く、非常に危険な乗り物です。
つまり、工場内でのフォークリフトの操作で何年も無事故であったとしても、少しの気のゆるみや知識不足から、いつ大きな事故を起こしてもおかしくないということです。今回は、フォークリフトの労災発生の原因や作業時のチェックポイントについてわかりやすく解説していきます。
フォークリフトの安全研修にお悩みの方
2.フォークリフト事故の主な原因
3.フォークリフトによる3つの事故事例を紹介
4.フォークリフト安全作業のチェックポイント
5.現場の安全教育により意識改善を目指そう
まずは、フォークリフトにおける労働災害にはどのような災害発生が多いのか、その傾向について探っていきましょう。陸上貨物運送事業労働災害防止協会の平成30年~令和2年の事故の型別フォークリフト死傷災害のデータによると年間死傷者は2000人前後、そのうち年間死亡者は30人前後だとわかっています。
「フォークリフト事故なんて、ほとんど起きないでしょ?」と思っていた方は、意外と事故数が多く、死亡者まで出ている事実に驚いたと思います。そして、実際の死傷災害の型別割合を見てみると、挟まれ・巻き込まれが37%、衝突による事故が27%となっています。
つまり、全体の事故のうち、この2つのケースだけで64%の割合を記録しています。このように、年間の死傷者数や事故の発生原因を知ることで何に注意をすれば良いかがわかってきます。
フォークリフトの事故では、挟まれ・巻き込まれだけで37%もの事故発生があると説明しました。では、体のどこを挟まれたり、巻き込まれたりしているのでしょうか。労働者健康安全機構の調査によると、もっともケガの報告ケースとして多いのは手から腕のあたりであることがわかっています。
フォークリフトに巻き込まれる体のパーツのうち、指・手・腕だけで60%もあります。その中でも、指の事故をケガの原因とするものが多くなっています。
次に、フォークリフトの運転者はどのような事故を起こしやすいのか、いくつか具体的な事故事例をご紹介します。
バック走行時の巻き込みによる製品破損
バック走行時は、前方方向へ進む時よりも危険が伴います。なぜなら、前方よりも後方に進む方が確認すべきポイントが増えるからです。特に、いつもとは違うフォークリフトに乗ったり、長い爪のリフトを利用したりすると、爪と周りとの荷物との距離がうまくつかめず、バック走行時に製品破損による巻き込み事故を起こしやすくなるので注意が必要です。
フォークリフト走行中に作業者を直撃
フォークリフト専用経路とされる場所であっても、フォークリフト走行中に作業者に直撃してしまうことがあります。なぜなら、何かの拍子に急な飛び出しがあるからです。そのため、運転者は、絶対に事故は起きないと過信せずに、特に見通しの悪い場所は接触に注意しましょう。
積み荷が天井のハリに接触、製品を落下
工場内での作業で多いのが、積み荷が天井のハリに接触し、製品が落下するというケースです。このケースは、フォークリフトの運転者がアームの長さやリフトアップ時の高さについて、明確な理解や確認ができていないときによく発生する事故のひとつです。
製品の落下は、製品自体を破壊してしまうのはもちろん、落下物を作業者にあててしまい、大きなけがをさせてしまう可能性があるので注意が必要です。
フォークリフトによる事故のリスクを減らし、安全に運転するにはどうすればよいのでしょうか。安全作業を行うための押さえるべきチェックポイントをご説明します。
作業前の注意
労働安全衛生規則第151条の25には、フォークリフトを稼働させる前に、始業前点検の実施が法律で義務付けられています。
フォークリフトを稼働させる場合は、エンジン始動前と始動後に必ず点検を行いましょう。特に、始業前点検は、1日の安全と密接に関係してくるため、徹底しましょう。
“労働安全衛生規則第151条の25 事業者は、フォークリフトを用いて作業を行うときは、その日の作業を開始する前に、次の事項について点検を行わなければならない。一 制動装置及び操縦装置の機能二 荷役装置及び油圧装置の機能三 車輪の異常の有無四 前照灯、後照灯、方向指示器及び警報装置の機能“ |
実際に、次のような場所が指導前の検査箇所となります。
- タイヤに溝があるか
- バックミラーに問題はないか
- オイル漏れが発生していないか
- ホイールナットにゆるみはないか
- 爪に問題はないか
このような点は、エンジン始動前にチェックできるポイントなので、すぐにしておきましょう。
そして、エンジン始動後は、次のポイントを点検します。
- 制御装置に問題はないか
- 操縦装置に問題はないか
- 荷役装置に問題はないか
- 油圧装置に問題はないか
- 前照灯、後照灯に問題はないか
- 左右の方向指示器に問題はないか
- 警報装置は、正しく作動するか
- タイヤを含めた車輪に問題はないか
もし、異音や故障場所が見つかった場合は、労働安全衛生規則の第151条の25に従って、直ちに修理を行いましょう。この他にも、フォークリフトの運転者が気の緩みからだらしのない恰好をしていないか、運転中に携帯を操作するような動作を行っていないか、常にフォークリフトの免許は携帯しているかなど、社内の安全性を高めるための点検を行いましょう。
走行運転上の注意
フォークリフトを運転する際は、会社の運転規則を必ず守りましょう。ほとんどの会社では、次のような運転規則があります。
運転規則1:走行速度は、常に10km/h以下となるように運転する
運転規則2:敷地内の止まれの標識位置は、必ず止まる
運転規則3:環境や運転状況上、死角が生じやすい場所は、安全確認を徹底する
運転規則4:自社の敷地内でも無資格者に運転させない
この4つの運転規則は、基本的にどこの職場に行っても、守るように伝えられる規則です。もし、明確な運転規則がない場合は、規則作りや指導体制を整えるところから始めていきましょう。
なお、会社によっては、フォークリフトの無資格者に運転させているケースを見聞きすることがあります。自社の敷地内であっても、無資格者が運転することは違法行為に該当するため注意しましょう。
荷役作業時の注意
フォークリフトの荷役作業を行う場合は、正しい積載方法と積載時の走行方法について知っておきましょう。
正しい荷物の積載方法…まずは、フォークリフトが最大でどれくらいの荷重を発揮できるのか、荷重曲線をチェックします。それを超えた荷物は、絶対に乗せてはいけません。そして、積載した荷がバランスを崩して横転しないよう、荷物の積み方や重心に十分な注意をはらいましょう。
積載時の走行方法…荷物の有無に関係なく、走行時マストは常にいっぱいにチルトしましょう。そして、フォーク、または荷物は高さを15~20センチを保ちます。荷物の積載時は、低速運転(6~8 km/h)、または敷地内の制限速度での運転を徹底します。また、積載した状態で下り坂を進行する場合は、後進させるのが正しい運転方法です。また、障害物や通路の凹凸、落下物に注意しながら安全に走行しましょう。
フォークリフトによる事故を防止したいのなら、具体的な労働災害の事例やその傾向を知り、それぞれの運転者に自分ごととして捉えさせることが重要です。社員の安全意識を改善させるためには、フォークリフト研修が有効です。まなVRクラウドでは、いつでも誰でも気軽にVRを用いた研修を受講できます。
フォークリフトの運転事故ゼロを実現するため、現場の安全教育を行う手段として、、VR研修を通して専門的な知識や技術を習得していきましょう。